[クリエイター]英Monotype社の書体デザイナー大曲都市さんに会いにいってきました
この記事は約10分ぐらいで読めます
大曲都市さん
大曲都市さん(@Tosche_J)は英国Monotype社に務める書体デザイナーです。
英Monotype社
Monotype社はアメリカに本社を持つフォントベンダー(フォントを提供してる企業)です。Monotype Imaging Holdingsはフォントを制作している最大のグループ(だったと思う)です。
Twitterがきっかけでお会いする事に
私は都市さんのブログのarialについての記事を読んでからそのフォントに関するえげつない知識量を見てすぐさまチェックするようにしていたのですが…
22日午前の東京入りは決定、最短プランだと当日忘年会を開いてもらって次の日にそのまま福岡。それだけだと物足りないのでもう一人か二人ぐらいには会っておきたいところだけど、どうしましょう。どなたか23日に会いたいという方はいませんか。文字好きでも同級生でも学生さんでもいいので。
— 大曲 都市 (@Tosche_J) December 1, 2012
この都市さんのツイートを見てすぐにリプライを送ったところ、お会いして頂けることになりました!★
私は知識はないですがフォントが大好きで、気になることもたくさんあったので色々聞きたかったんですよね!かなりの確率で質問攻めに遭わせてしまうだろうなと思いつつ…w
新宿の喫茶店で
当日は新宿の駅前で待ち合わせして、喫茶店に行くことにしました。
更にもう一人フォントマニアをお呼びしたりしました
この日、このまたとないタイミングを独り占めはもったいないと思い、私よりもフォント好きだと思われるフォントストーカーのゆきえさん(@ykan_design)にも声をかけてみました★ たまたまこの日名古屋から東京に来るという事だったので、これは巡り合わせだろうと思い誘う事にしました。ゆきえさんともお会いするのは初めてだったんですが…この日はかなり二人ともテンションが高かった筈ですw
フォント好きがよだれ出しそうなお土産を頂く…!
喫茶店に着くなり、なんと都市さんがお土産を持ってきたと何かを取り出しました。それは…!
なんと…英新聞The Timesの、Monotype社から新フォントTimes Modernがリリースされたときの号外だという新聞を頂きました!これは手に入らない!!
頂けることにも驚きですが、如何にその新聞社が発注したものだとしても、新しいフォントがリリースされた事が号外になるなんて。海外でのデザインやフォントに対する認知度と言うか重視のされ具合はとてもうらやましいなーと思わされることがありますね!
そしてもう一つ、Monotypeが出しているポストカードセット。これもヤバい…。
超かっこいいプレゼントをゆきえさんも私も頂く事が出来ました。二人でキャーキャー言ってましたw
負けじとフォントグッズで応戦
私も最近ハマっているフォントグッズを持ってきていて応戦してます。ゆきえさんに見せるという用もあったのですけどw 以前の記事、[デザイン]フォントのことが好きになれるオススメコンテンツ、本、アプリ等を紹介しますでも紹介したヤツですね!
売り上げランキング: 33,145
売り上げランキング: 976
The Quick Brown~はわりと有名みたいでした。
書体デザイナーの仕事
お互い軽くどんな事をしているか等の話をした後、都市さんを質問攻めにします。すみませんすみません。
書体デザイナーと言うととりあえずフォントを作っている、というイメージだと思います。私のイメージもそうでしたw 実際には既にあるフォントの修正、多言語対応、過去のフォントの復刻等の作業も多いそうです。都市さん自身は他にはキリル文字、ギリシャ文字等のあまり日本人に馴染みのない書体も作っているそうです。
フォント作りには私も(本格的なものではないにせよ)興味があるので作ってみたいと思ってます。WEBCRE8.jpのロゴもロゴは自作の文字なんですよね。これをそのうちフォント化したいなと思ってます!
実際パスで文字を書いたことがある人はわかると思いますが、シェイプを整える作業、統一感のある法則に則って制作し、チェックし…この作業だけでも大変ですよね。それに加え、クオリティーの高い商業フォントには文字詰め情報(カーニングテーブルと言うのかな)が一文字ごとに設定されており、これがとんでもない作業なわけです…。
実際に一つのフォントを完成させるには二ヶ月は余裕でかかるそうです。
「フォントの発注は自社でのプロジェクトの他に言語対応を注文されることや、企業専用のコーポレートフォントとして発注されることもある」そうです。
オススメのフォント作成Macアプリ
都市さんのオススメのフォント作成アプリにGlyphsというMacアプリがあります。以下の記事でも紹介されています。
? ドイツからやってきた書体制作ソフトGlyphs Toshi Omagari
これは初心者にも手を出しやすい価格(それでも26000円しますが、プロユースのものは到底買えない額らしいw)で本格的なフォントの作成が直観的に出来るらしく、しかも有志によって日本語対応されています。と言うかこのソフト自体もフォント作成ソフトの選択肢の少なさに個人の制作者が作ったらしく、その制作者の事を考えた設計に都市さんも注目したそうです。
web制作者はフォントとどう向かい合うべきか
私は「このサイトのロゴがHelveticaなのかArialなのか自作フォントなのかで意見が分かれたんですがどっちですかねー」とかそういう他愛もないことや色んな質問をしたんですが、やはり気になるのはwebデザイナーとしてフォントをどう使っていくべきなのか、という話題です。
ちょっと漠然とした言葉になってしまいましたが、この辺は別途記事にしたいと思っています。私のフォントに対する考え方、迷っていたことや、これでいいのかなと感じていたことに、後押しを頂くことが出来ました。
こぼれ話
都市さんはフォントについての講演なども行う事があるわけですが、そのときジョークも交えて話すそうです。例えばGoogleのwebフォントはフリーなので、某国のwebサイトはGoogleのフォントだらけだとか…この話をすると一部地域を除き大爆笑だそうですw
有料フォントとフリーフォント
実際、街中を見回してみても、企業のロゴや看板にフリーフォントが使われているという事はあまり見かけません。もちろん気付いてないだけ、というものもあるでしょうが、大抵はMonotype等のフォントベンダーから販売されている有料フォントです。これは英語圏のみならず国内においても同様に感じているのでそうなんだろうと思います。
それは前述のカーニング情報等が不足しているといった大きな性能の差があるわけですが、仮にシェイプのクオリティーが劣らなかったとしても、そこには色々な都合(単に知名度の差であったりもしますが)があるのだなと思います。
言語同士の細かな差等に対応出来ているか
イタリック体ってwebデザイナーからすると主に日本語が読みづらくなるためリセットスタイルシートで真っ先に切られたりとなかなか不遇な存在ですが、英語圏においては必須の存在だそうです。イタリックのないフォントは日本語で言えばカタカナがないフォントの様なものだそうで…そう聞くとないがしろには出来ませんね!
その他ウムラウト等の記号が多用される言語、リガチャー等の可読性や美しさに対する対応ができているか等でフォントの完成度は変わってきますね。
終わりに
他にはGoogleの最近のフォントに関する取り組みの話とかも聞かせて頂いたんですが…まとめきれなかったので割愛させて頂きますw 都市さんの活動の新しい情報は前述のブログでも報告されると思うので楽しみにしています!★
都市さんは落ち着いているけどフランクな方で、今回は単に「空き時間が出来たのでフォントの話したい人ー」程度のノリで会ってくれたわけですが、いやー今回は運が良かったです。また何かの機会があったらお会いしたいなと思いました!