[イベント]W3C Developer Meetup Tokyo 2013に行ってきましたレポート
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一昨日の2013年6月8日、東京六本木のGREEイベントホールでW3C Developer Meetup Tokyo 2013が行われました。
このMeetupは世界規模のイベントです。今年はようやく日本で行われるとのことで、海外のwebエンジニアがこのイベントのために集まってきていたようです。
このイベントは世界各地で持ち回りのようにして行われる要はオリンピックのようなもので、当然セッションは全て英語です。一応同時翻訳は行われるとのことでしたが、本当に理解できるのか、イベントを楽しめるのかどうか不安でした。
<htmlday>
ところでこの日はこのW3C Developer Meetup in Tokyoの他にも東京だけでなく日本各地でweb/IT系のイベントが複数行われました。その数、集計しているだけでも32のイベントです。このお祭りのような状態をhtml5jではhtmlの日とし、皆でイベントを、技術系コミュニティーを盛り上げようじゃないかという活動として行いました。
各イベントの様子をニコニコ生放送で配信
このイベントの都内での様子を、HTML5-WEST.jpの村岡さんとITメディアのともみさんがニコニコ生放送でレポートしたりしていました。
ともみさんは着物まで用意して、このイベント(特に懇親会以降)の盛り上がりに一役買ってくれましたw ずっとお酒を飲んでいました。あれ、今日正月だっけ?ってレベルで飛ばしててこっちも正月特番なような気分になりましたw
会場・受付
会場は六本木ヒルズ森タワーの14階。GREEです。
GREEに来るのは初めてだったかも。
場内に入ると受付の後、来場者全員にHTML5のロゴマークが入ったどらやきが配られていました!
ご存知の方もいると思いますが、私は趣味でWordPressクッキー、HTML5クッキーなどを作っていて、こういうアイコンアートが大好きなのです★
セッションの内容
W3Cのマリ・クレーア・フォーグさんとhtml5jメンバーの小松さん(@komasshu)の最初の挨拶が始まった時点では会場の入りは半分ほど。まだ他の会場でのイベントが続いていたみたいですね。マリさんはドラえもん、小松さんは恐竜(カエルだそうですすみませんw)のコスプレしてましたw
イベント内でのパネリスト、司会者の発言や業務連絡は全てGoogle翻訳APIを使い同時通訳されています。人力で修正されたものが表示されていたらしいですが、それでこのスピードで翻訳が読めるというのはすごい。この内容、どこかで全文公開されてないですかね…。
Session 1 – HTML5.next: the road ahead
by マイク・スミス (W3C HTML Activity Lead)
ここからはイベント会場で書きくだしていったことを箇条書きで紹介します。理解が足らず不十分なところもあると思うんですけどご容赦ください…大体どんなことが話されたか掴んでもらえると良いなと。
- Web Componentsの話
- template、element、shadow
- Web Componentsは強力な仕様で、CSSなみにプラットフォームを変えるかもしれない
- validationの話
マイクさんがヴァリデーションの動作を見せる際に「適当なURLを入力します」と言いながらmixiのURLを入れていたのが印象に残りましたw
Session 2 – A Camera Mobile Web App
by 井村 友美 (Nokia)
次はNokiaの井村さん(@girlie_mac)さんのお話し。フォローはしてたんですが今回初めてお会いする事が出来ました。感激!全セッションの中で私は一番興味のある話題で、理解も出来たので一番メモが多いですw
- HTML5 JavaScriptAPIの良い使い方
- Coremobカメラというアプリの仕組み
- Webプラットフォームで何が出来るか
- それをデベロッパーに知ってもらう
- ブラウザをよくするのを助ける
- FileAPI 撮った写真を送信
- Canvas 写真を加工
- IndexDB ブラウザに写真を保存 サファリとOperaはサポートされてない
- XMLHttpRequest2 写真をサーバーに送信
- XHRでは同じドメインにしか送れなかったのをCORSが克服
- Touch Events 写真のカルーセル
- Pointer Events タッチ、マウス、ペンなどのイベント
- PhoneGapが未サポートのHTML5機能の差を埋める
ちょうど私もHTML5のJavaScript APIで何が出来るのかを調べたりしているのでこの話は非常にありがたかったです。
http://girliemac.github.io/presentation-slides/html5-mobile-usecases/jp.html
スライドは上記のように公開されているほか、coremob/camera ・ GitHubがGitHubで公開されています。
Session 3 – Testing the Open Web Platform
by トビー・ランゲル (W3C Testing Lead)
Facebookのトビーさん。「IE6に苦しんできました」って、外人さんの口からもこういう発言を聞けるのはなんというかほっとしますねw
- Testing The OpenWeb Pratform
- 草の根の取り組みをしている
- caniuse HTML5test
- ほとんどの開発者は非互換性に苦しんでいる
- テストスイートは相互互換性を改善するため
- ブラウザがなんの機能を持っているかを知る開発者用のUIを作るなどのことで開発者を支援したい
ちなみにここで言うテストというのはブラウザーや仕様の互換性についてJavaScriptを使用してチェックする事ということだそうです。この辺のことが良く理解できていなかったのでこのW3C Developer Meetupの前にやっていたTest the Web Forwardには参加しなかったんですけど、やっぱり参加したほうが良かったかな…。
このセッションの辺りからこのTest the Web Forwardから人が移ってきて会場がほぼ満員になりました。
Session 4 – Web Crypto API: wanna secure your Web apps?
by バージニー・ガリンド (Gemalto)
写真は撮り忘れましたすみません><
- Web Crypto の議長
- パリの市長選挙に電子投票が使われた
- プラグイン、個人情報、3ユーロを払わないと投票できないしユーザビリティーも悪かった
- Crypto があれば複数のプラグインを使うことなくセキュリティを保つことが出来る
- 暗号をワンクリックで扱うようなことが出来るようにしたい
- ユースケース 銀行、ファイルの同期、コードの署名、著作権の保護(DRMではない)
最近html5jのメーリングリストで話題になっていましたね。あまり私はその有用性や必要性について理解していませんでしたが、興味を持ちました。
Session 5 – CSS3 in Action, demos session moderated
by バート・ボス (W3C CSS Activity Lead)
with presentations from: ジョン・ダゲット (Mozilla) and アラン・スターンズ (Adobe)
Adobeの人です。
- Adobe & HTML
- CSS Regionsの話し
- 長方形だけでなくコンテンツの形状に合わせてレイアウト出来る
- レスポンシブに向いている。伸縮によって溢れたコンテンツを別のボックスに流し込むことが出来る
- ナショナルジオグラフィックのWebサイトがRegionsにヒントを与えた
Regionsって複数カラムの並列表示(新聞のようなレイアウト)に使える程度だと思ってたんですけど、確かにそう言われるとスマートフォンの表示にも向いているんですね。効果的に使えるかはまたデザイナーの腕になってくるかとは思いますけど。
あと、このセッションでは日本人の方が英語で質問していてすごいなーとか思ってました。内容は「この複雑な仕様を設計するモチベーションはなんですか?」「そんなに難しいものではないですし、みんながやりやすくなるように頑張りたいよ」とかそんな感じだったと思います(うろ覚え)。
Session 6 – JSX (High performance JS game framework)
by 奥 一穂 (DeNA)
写真は撮り忘れました、すみません><
- JSXについて
- 静的なプログラミング言語
- JSゲームを開発するコストが増大している
- jsの良い部分は明確な言語である
- しかしJSは遅く生産性が低くでバッグに時間がかかる
- メモリを食う
- 動的言語であることが原因の一つ
- その為静的な型付けを徹底する
DeNAの奥さんという方のJSXに関するセッションでしたが私は全然わかりませんでしたw メモは一応書いておきましたがこの辺に関しては多分解説されてもわかんないレベルです…。
Panel “Japanese developers contributing to W3C standards”
最後にパネルセッションが行われました。メンバーは
- 井村 友美 (Nokia)
- リチャード・イシダ (W3C Internationalization Activity Lead)
- 小松 健作 (NTT Communications)
- 白石 俊平 (html5j)
- マイク・スミス (W3C)
の五人。とwebサイトには書かれてましたけど、メンバーが変わったのかな?小松さんの代わりにGoogleの山崎フミさんが話すことになったんですかね。
パネリストには我らがhtml5jの白石さんも加わっています。白石さんは自己紹介で「私は英語が話せませんがここにいます、英語がわからないからといって心配しないで下さい」と言ってましたが、実際に私も白石さんが英語話せません話せませんって言っていたのを聞いてこのイベントに参加しようと思うことができたのでこれはホントにありがたいと思いましたw
内容は日本人の開発者がW3Cの活動にどう貢献出来るのかというような内容ですね。ここも箇条書きです。
白石俊平さん
- モチベーションにはビジネスと非ビジネスがある
- 非ビジネスは普段の取り組みで上げられる
- 自分の環境を自分で変えられないと思うことがモチベーションを阻害する
- 世界を変えられる
山崎さん
- 英語がわからないことが障害になってるけど、今回テストザフォワードでは世界記録が出た
- 日本の技術者のコミュニティーは世界全体で見てもすごい
- ボランティアベースでここまでクオリティー高く教え合う状況は誇るべき
マイクスミスさん
- 我々は問題に直面することで努力が出来る
- 必要なのは解決策ではなく問題である
- 我々も今までアプリケーションキャッシュ、ローカルストレージなどの間違いがあった
- 仕事の問題、仕様の問題を報告してほしい
リチャード石田さん
- 日本人が持っている要求を出してほしい
井村友美さん
- w3cに貢献しようと思うのは敷居が高いから、友達を助けてほしい。
- ヨーロッパの人が書いたものをレビューするなど日本人が出来る方法はある
- 私自身もコミュニティーに参加することに興味はなかったけど、助けられることで興味を持った
懇親会
8時を過ぎてちょい押しで懇親会が始まりました。みなさん外人のパネリストや来場したそれぞれと会話していて、これは厳しいと思いました…w
私はweb系のニュースリリースならかろうじて読めるかな程度の英語力しか持っておらず、ヒアリング、ましてや会話なんかは完全に不可能なので、セッションが参考になった井村さんや日本人の会いたかった人に話しかけてましたw
ライトニングトーク
やはりライトニングトークが始まりました。なかでも印象に残ったのはGREEのきょうさん(@kyo_ago)のアプリケーションキャッシュの話。ちょうど使おうと思っていたのでどんな問題があるのかを知ることが出来ました。
なんか問題が起きてからブラウザーの方で対策されるなりするまでは便利に使う事が出来そうなんですけど、損も少ないので使おうとは思ってます。しかし、前述のようにJavaScriptAPIの中でも失敗例とされるような仕様のようですね…w
http://0-9.sakura.ne.jp/pub/w3cdev/start.html
セッションも既に公開されています。
もう一つはCSS Writing Modeの話。縦書きに関する仕様ですね。これについてもメーリングで目にした事はあったんですけど特に気にしてなかったです…。
「縦書きがwebに必要か?」と言われると正直なところ別にって感じなんですけど、今回の話を聞いて「縦書きは日本人しか使っていないからなくていい」とは思わなくなりました。これは環境保全に近い意識なんですけど、webがどんどんデータベースとして発達していくなか、縦書きがデータの様式として存在しないのは単純に不自然に感じます。
日本人が利用例などを示し、仕様に対するアピールをしていくことは大事そうだなと思いました。
ケーキとHTML5どらやき
懇親会の途中でケーキが出てきました。やっぱ出てきた!w
W3Cとhtml5jのケーキですね。このロゴはまだステッカーとかにはなってないんですけどすっごい欲しいです!
先ほど配られたどらやきの巨大バージョンもあります。
終わりに
というわけで、今回はイベントの様子をお伝えしました。最初は英語のイベントだしちょっと専門的すぎなイベントだしどうなんだろうと思ってましたけど、全体的に非常に楽しめました!
また日本で開催されることがあるのかわからないですけど、世界がその必要性を感じられるような盛り上がりを日本で作ることが出来るといいなと思いました★
一人ひとりの開発者が出来ること
全体を通して感じたのは、やはり開発者一人ひとりがwebに貢献する余地がたくさんあるのだなという事。web制作者は仕事に取り組む過程で気付いたことについてフィードバックをすることも出来ますし、ブログ記事を書いて問題提起もできます。お互いに会話をし、ディスカッションをし、webに展開されるwebサイトを良くすることが出来ます。
こうしたことは私もこのブログで、
といった記事を書いています。「我々もwebを作っている」という意識を持っていたいと思います。
HTML5はまだまだ小さい
私はhtml5jのメーリングリストに参加したころ「こんなに大きいコミュニティーがあるのか」と感心したものですが、同じようなコミュニティーとして運営されている「Android友の会」は3万人、html5jはまだ6000人です。ということは、国内でHTML5を積極的に開発、使用していこうとしている人もまだそれほど多くないという事になります。
私もHTML5KARUTAというコンテンツ・プロダクトを作っている他、ブログで仕様について解説をしていますが、こうしたことは思っているより効果があるのではないかと感じることが出来ました。興味を持つ人間を増やしていかないと話にならないですからね!
ツイートまとめ
今回のW3C Developer Meetup Tokyo 2013に関するツイートが小松さんによってまとめられているので興味のある人は見てみてくださいね!