[UI]ボタンというインターフェイスの向こうにあるもの
この記事は約5分ぐらいで読めます
Facebookのいいねボタンというのを私はすごくいいシステムだと思っています。以前も「いいね」は現時点で一番心理障壁の低いアンケートであるという記事も書きました。手軽ということには簡単にスパムまがいのことが出来てしまうというような弊害もありますが、それでも友人がいいねしているかどうかを価値の判断基準として使えるのはやはり便利です。
いいねを押すという行為の利用者にとっての意味
利用者は、Facebook上またはWebで何かコンテンツを見たとき、それが良いと思ったらいいねボタンを押すことで、そのコンテンツに対する好意を表明することが出来ます。
いいねを押した人は単にその投稿やコンテンツに対していいねという感情を持っただけであり、普通その行為にそれ以上の意味はないと思います。
Facebokで実際に起こること
実際にいいねをあるFacebookの投稿に対して押すと、その投稿が自分の友達のタイムラインに上がってきます。あなたがその投稿に対していいねと思ったことが、友達に対して表明されるわけです。これにはあまり違和感がないですよね。タイムラインの情報は流れていくし、気軽ないいねという気持ちをうまく具現化していると思います。
次にFacebookページをいいねした場合はちょっと意味が重くなります。投稿一つに興味を示したわけではなく、その活動そのものに興味を持ったことになりますよね。いいねをしたFacebookページにおける投稿は、常にタイムラインに表示されることになります。
でも、いくら友人のやっていることだから応援したいとはいっても、遠方の友人のピザ屋の割引情報を知りたいでしょうか。頑張っているようだしいいね!と思いはしても、アクティビティーを知りたいかどうかはまた別ですよね(Facebookの投稿が埋まることを恐れて応援したいのにいねを押せない、とか…)。
ワンクリックで出来る行為の結果の違い
こうした構造的な理由から、利用者はだんだんと本当に常日頃情報を追いたいページのみをいいねすることになるはずですし、目にしたい情報にいいねするようになります。このことから、Facebookページの厳密な評価基準は「多くのユーザーにフィードを受け取りたいほど好き、あるいは興味があると思われているか」だということになるかと思います。でも、実際に普通の利用者がそこまで考えてどこをいいねするか選べるのかな、とも思います。
いいねボタンを押すという行為ひとつとっても機能面の結果にこうした違いがあります。同様に、これは他の様々なソーシャルボタンなんかにも言えます。
例えばはてなブックマークなら、ブックマークしたことが自分のアカウントに記録される他、多くのブックマークがつくことでその投稿がはてなブックマークというWebサービスで大きく露出されます。その結果、コメントを付けた場合はそれが人の目に触れる可能性も高くなります。
例えばツイートボタンなら、自分のTwitterアカウントでツイートされ、それがRTされたり、お気に入りに複数入るとfavstar.fmで人気ツイートになったり。
いずれにせよ、非公開アカウントにしていない限りWebでのアクティビティーはそこそこ高い確率で人の目に触れます。
終わりに
Web制作者の人たちはこういうインターフェイスを見て「押したときに何が起こるかわからない」なんてことはないかと思いますし、ソーシャルボタンを押したりする人が何も知らないということもそう多くはないと思います。しかし挙動を知ってはいるのに、押した後に何が起こるのかをイメージせずに使ったり設置したりしているんじゃないか、と感じることは結構あったりします。
特にその行動の結果がWebに公開されるような機能を持つソーシャルボタンは、投稿した後に消してもあとの祭りだったりすることもあるなど、わりと結果を意識することが重要なボタンだと思います。これがアプリのボタンなんかにしても、後戻りの出来ない機能であるにも関わらずラベル等の説明がないとかだと、結構困る人は多いと思うんですよね。
利用側と制作側、両方の立場の話を書いてしまったのでちょっと複雑になっちゃいましたけど、とにかくボタンを押した後の挙動を意識しよう、作る側はそれを想像しやすいか確認できるインターフェイスにしたほうがいいよねという話でした。