「まず虎を屏風から出してください」状態のweb制作
この記事は約4分ぐらいで読めます
- 2013年05月24日
- 考える
- Webディレクション Web制作 考察
ちなみに私自身はwebデザイン、コーディング、ディレクションを職域としていますが、webデザインやコーディングのみを請け負うとき、コンテンツ制作までをトータルにやるときとがあります。そういう立場で書いています。
屏風の中の虎
一休さんのとんち話にこのようなものがあります。
殿様「一休よ、お前は屏風の中の虎を縄で捕らえる事が出来るそうだな」
一休「その通りで御座います」
殿様「よし、ではこの屏風の中の虎を捕らえてみよ」
一休「わかりました、ではお殿様、まず屏風から私の目の前に虎を出してください」
実際に一休がそんな事が出来るかは誰にも判断できません。今で言えば釣りとも言えるでしょうかねw
コンテンツが先かデザインが先か
翻ってweb制作の現場では、このようなシチュエーションがデザインに限らずあり得ると思います。
すなわち、
web制作者「私は成約のバンバン取れるwebサイトが作れます」
依頼者「じゃあとりあえず作ってください」
web制作者「コンテンツ下さい」
依頼者「ぐぬぬ」
みたいな感じですね。
コンテンツが定まらなければ本当に効果の出るwebサイトが作れないのはもちろんです。…いや、もちろん依頼が「webの施策をトータルでお願いします」って依頼ならコンテンツ自体を作るのも仕事になるのでそれでいいんですけど、コンテンツはあるからデザインとコーディングだけ、という依頼をもらっているのに「ここはコンテンツを考えて欲しい」なんてことがあると困りますよね。
コーディングにもデザインにも文脈が重要
今後web制作のメインストリームとなっていくHTML5とその周辺仕様は、セマンティックなwebの発達を推し進めるものでもあり、webにおいてかつてよりコーディングのコンテンツへの依存度が高くなっていきます。コンテンツの内容、文脈が決まっていないと正しいコーディングが出来ないわけです。
webサイトで実現したい事を概要のみヒアリングし、コンテンツの提案まで行うとなれば仕事はwebデザイン、コーディングの範疇を超えてしまいます。もちろんそこまで含めた依頼としてもらう事が出来ればいいわけですが。
これは別にHTML5になったからという訳ではなく、本来webコンテンツを作るにはコンテンツ自体が必要という、至極当たり前のことです。箱の中に何が入っていてもOK、というのであれば冗談ではなく画像一枚でもいいわけですよね。本当にそれでもいい場合もありますけどw
本当に質の高いweb制作のために
「コンテンツがないからまだデザイン出来ません!」と依頼者をやりこめたところでweb制作者に得なことはありませんし、無理なら他の人に頼むよーとなっても仕方がありませんよね。
web制作者自身も、納得のいくwebサイトを作りたいのなら…どこで興味を引きどこで購入に繋げるということまで考えるのなら、依頼者からコンテンツの文脈や意図を引きだすのは重要だと思います。依頼者が「ただサイトがあればいい」というのなら、ちょっと対処が変わってきますけど。
デザインとコーディングだけの仕事なら依頼者に理解してもらってしっかりとコンテンツをもらう。そうでなければ更にしっかりヒアリングをし、依頼者の求めるコンテンツを設計し、その上でデザインとコーディングをする。そういう風に考えていきたいと思います。
- 「どんなサイトを作りたいですか?」と聞いてはいけない
- [HTML]セマンティックで正しいコードを書こうとする理由 ― 二人の主を戴く技術者
- コンテンツが利用者に利益をもたらし制作者の目的を果たすまでの7つのこと
ちなみに私はwebサイトの制作について上記のような意識を持っています。依頼者は敵ではないわけですから、気持ち良く仕事を受け、また相手からも感謝してもらえるようにしたいですよね!
追記
表現がわかりにくいとご指摘を頂いた部分を少し加筆しました。@halcanaさんありがとうございます★