[レビュー]TYPOGRAPHY03 全デザイナー必見のフォントリストをチェックしよう
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最近本を読む機会が増えました。と言っても本を読むのが遅くて、実は今年に入ってかなりの書籍を著者さんや出版社さんにご提供頂いてるんですけど、まだ全然消化できてません…。さらっと目を通して見たところどれも面白そうなので、近日中にしっかり読んでレビューしたいところです。今月中に少なくとももう一冊は!
TYPOGRAPHY03
で、ちょっと今回は先んじてこの本を紹介させてもらいます。さらっと読めたので概要を紹介していきます★
TYPOGRAPHY03は「文字を楽しむデザインジャーナル」と銘打たれた文字に関する専門雑誌TYPOGRAPHYの第3巻です。
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本書の目玉企画は「特集 デザイナーなら覚えておくべき厳選フォント350」です。350て…w そんなに覚えられる気は全くしないんですけど、一度目を通すと国内外での伝統的なフォント、そしてトレンドまでがわかるようになっています。
それではざっくり内容を解説していきます。
TYPOGRAPHY03:巻頭
巻頭特集はビジュアルメインの記事が3本。
- Sony Music Timeline
- Buchstabenmuseum
- The Next Day
ソニー・ミュージック ロンドンオフィスの壁面に描かれたSony Music Timelineというタイポグラフィーアートについての写真と制作秘話。その制作の様子は動画で見ることもできます。
Sony Music Timeline from Rob Antill on Vimeo.
その他に、今は閉館してしまっているドイツの文字看板博物館Buchstabenmuseum、デビッド・ボウイのニューアルバムThe Next Dayについてのビジュアル記事が掲載されています。
TYPOGRAPHY03:特別記事
書体デザインの現場から
和文フォント制作についての話題です。
- 朝日書体
- かなバンク「フィンガー」
- 文字塾のフォント
朝日書体は朝日新聞で使われている伝統的なフォントが一般にも発売を開始したという話題。その特徴、どうやって生まれたのかを解説しています。
フィンガーは、iPadのフォント作成アプリiFont Makerを使って作られた、指で書かれたフォント。仮名のみのフォントではあるんですけど、面白いのが一文字について複数のパターンが用意されており、文字の並びによって最適な文字を選ぶようになっているとのこと。これについても詳しい解説があります。
TYPOGRAPHY03:特集
デザイナーなら覚えておくべき厳選フォント350
タイプファウンダリーのまとめサイトTYPECACHE.COMが厳選した欧文の300書体と、和文48書体が紹介されています。
欧文和文共に選び方のポイントが書かれています。その辺は欧文の解説を以前記事でやってますね。
[フォント]文字デザインの分類(欧文編) – WEBCRE8.jp
和文の記事も書く予定なので待っててくださいw
- 覚えておきたい定番セリフ
- 覚えておきたい定番サンセリフ
- 近年よく使われるセリフ
- 近年よく使われるセリフ
- 覚えておきたいスクリプト&ブラックレター
本書ではこのような分類で300書体が紹介されます。定番のFuturaやHelveticaはもちろんですが、最近特に色んな所で見かけるBank Gothicや、フリーフォントのLobster等、広範にわたっての紹介がなされていると思います。
近年よく使われる、の方はほとんどが2000年以降に作られたもので、正直ほとんど知らなかったですね…。まだまだ勉強が足りないです。
http://www.myfonts.com/fonts/bitstream/handel-gothic/
http://www.myfonts.com/fonts/hubertjocham/narziss/
気に入ったフォントを二つ紹介します。Narzissはハワイでポスターに使われているのを見かけましたね。リストは本を買ってしっかり見てみてくださいね★
他にも覚えておきたいタイプファウンダリー60社、タイプデザイナー68人を紹介しています。タイプデザイナーの紹介にはもちろん[デザイン]フォントのことが好きになれるオススメコンテンツ、本、アプリ等を紹介しますで紹介したフォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?の著者、小林章さんも紹介されています。
オープンタイプフォントの特性を活かしたフォントの話など、コラムも面白いです!
欧文フォントの紹介では前述の欧文フォントの記事で紹介したフォントの他にもこれ1本で様々なシーンに対応出来る欧文フォント集「改訂6版 TrueTypeフォント パーフェクトコレクション」の収録フォント・利用条件解説で解説したフォントが半分程度紹介されています。
この本の厳選フォントを見て改訂6版 TrueTypeフォントパーフェクトコレクションを買ってみるのもいいかと思います★
和文については
- 覚えておきたい明朝体
- 覚えておきたいゴシック体
- 覚えておきたい丸ゴシック体
- 覚えておきたい伝統書体・ディスプレイ体
とありました。ただ、和文についてはなんか物足りないなという印象は受けました。
あと全体を通して有料書体中心の紹介になっています。まあ基本的にはフリーより有料の方が実用性は高いんですけど、わずかにフリーフォントも紹介されています。別枠で人気の高いフリーフォントをまとめてくれたりすると良かったのではないかなーと思いました。プロお墨付きのフリーフォントって知りたいですよね。
TYPOGRAPHY03:連載
その他、連載のタイトルは以下の通り。
- 欧文書体の作り方
- これ、誰がデザインしたの? ロゴ編
- もっと知りたいwebフォント
- フォント探検隊が行く!
- 海外タイポグラフィ教育事情
- Indesignで欧文組版
- ニュース他
特にフォント探検隊の記事は浅草が舞台になっていて、道を歩いている様々な看板のフォントを紹介してくれています。こういうの大好き。
まとめ
といった感じでした。
ざーっと紹介しましたが、フォントが好きな人、この本にどんな事が書かれているのかが気になっていた人は多いと思います。結論として2000円の価値はあります。バックナンバーもチェックしたくなってきた…!
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ちなみに私がこの本で一番意義を感じたのはもちろん厳選フォント350の記事なんですが、私は取り組む分野については一旦どんなものがあるのか全体を見渡す経験を持っておいたほうがいいと思っています。これはHTML5KARUTAでもよく言っていることでしてw
赤と青しか知らなくては、初めて緑を知った時使いこなすのは難しいでしょう。一度フォントにはどんな種類のものがあるのかを見渡してみて、どんなフォントにどんな役割を持たせられるのか…それを知ってからではまたフォント選びが違ってくると思うわけです。
ぜひ買って、どんなフォントが第一線で活躍しているのかチェックしてみてくださいね!★