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[ライセンス]どれにする?制作者視点での目的別ライセンスの選び方

この記事は約16分ぐらいで読めます

ライセンスが権利の取り扱いの範囲を決める
素材を公開する場合、そのライセンスについてはどうすればいいのでしょう。この記事を読めば公開の目的、意識ごとにベストなライセンスを選ぶことが出来ます☆

この記事は以前の記事[ライセンス]結局何を使っていいの?利用者視点でのよくわかる著作権!と対になる内容です。同じ事を別側面から見ているので、言っていることは同じだったりしますw

作ったものを公開したい!

モノ作りをしている人達の中でも、web業界で働いている人にとっては制作物や研究結果をシェアするという考え方はわりと一般的だと思います。業界の大先輩の方々が書いた本を始め、無料でもブログに書かれている最新情報、リファレンス、備忘録、実験等様々な形で情報を得ることが出来ます。

同じように業界に還元すると大層なことは言わないまでも、皆さんは自分の為に、自身の作品や素材を配布・宣伝したりできます。すなわちそれで商売が出来たり、仕事の受注につながったり…セルフブランディングというやつも含まれますかね。

web制作者の情報の共有

web制作者の情報の共有

そういうとき作品をどのように公開すればいいのでしょうか?

ブログにリンクを設置する、というのは勿論個人が採り得る一番簡単な方法です。持ってない場合も今はクラウドサービスを利用してソーシャルメディアなどで宣伝することが可能です。まあこういった活動はどうにせよブログや自身のサイトが必須になるとは思います。

ライセンスを宣言しましょう

素材や制作物を配布する上で非常に重要になってくるのがライセンスです。原則的にはどんな制作物も世に出た瞬間から著作物についての権利が発生します

そして権利というものは部分的、または全て制作した本人がある程度自由に破棄することが出来ます。その範囲をわかりやすくフォーマット化してくれるのがライセンスだ、と言えると思います。まあ成り立ちはなんであれ、要はそのように利用されているということです。

ライセンスが権利の取り扱いの範囲を決める

ライセンスが権利の取り扱いの範囲を決める

ライセンスを明記していない制作物

利用者に勘違いされがちなのは、「ライセンスを記していないものは著作権等の権利を主張するつもりがないのではないか」ということです。これは全く逆で、前述の通り作った時点で諸々の権利は発生してしまうので、実際には何も宣言していない作品こそが法的には一番他者の利用が難しい状態にあるわけです。これは基本的にシェアの必要のない親しい友人にだけ見せたかった写真などが該当しますね。それには本来金銭的価値もない代わりに、二次利用や販売が望まれるわけがありません。

web上で閲覧以外の利用ができるものはほんの一部である

web上で閲覧以外の利用ができるものはほんの一部である

上記のようなパーソナルなものと、出来る限り沢山の人に観て、聞いて、楽しんで欲しい制作物は全くの別物です。それは「見てもらえるんならどんな使われ方をされても構わない」と言う人もいれば、「ちょっと売られたりは困るけど、その場合ちょっと僕にリターンがあればいいな」と言う場合もありますし、「絶対にイメージにそぐわない使い方は許さない。私が作ったものであることも主張したい」と言う人もいますよね。

そういった個人個人の様々な主張を体系付ける為にライセンスがあるのだと思います

ライセンスを宣言しないのは利用者側、提供側双方において損!

webcre8は良い素材を見つけても、そこにライセンスの記載が見当たらないとスルーしています…。もしそう考える人が多少なりとも存在するのであれば、翻って自分が何かを発信する場合は、ライセンスを明記しないことが大きな機会損失になるであろうことが想像できますよね。もっと言えば、これはライセンスの話しとは逸れますが…海外のサイトがしっかりローカライズされているとやはり使いやすいですよね。要はそういった使いやすさがライセンスの表記にはあると言うことです。

制限は予め言っておけば逆に使いやすい

制限は予め言っておけば逆に使いやすい

この記事の趣旨

ここでは出来る限り簡単な言葉で、実際の運用に即した説明をしたいと思います。「〇〇は、要はどういうもの」「こういう時はこのライセンス」と言ったような逆引き的な用法を念頭に置いています。

ざっくりした説明で、まずはそれが大体どういうものかと言うことを知り、もっと理解を深めたいと思ったら、下記のような記事を参照してみてください。この記事では割愛する各ライセンスや用語の定義的な意味や概念、背景を学ぶことが出来ると思います。

ライセンス

ライセンスについて – GNU プロジェクト – フリーソフトウェア財団 (FSF)

Webデザイナーが覚えておく、代表的なライセンスまとめ : Web Design KOJIKA17

パブリックドメインについて

「パブリック・ドメイン」とは何か – SourceForge.JP Magazine : オープンソースの話題満載

前回と同じく、説明に入る前にこれらの表記は全てwebcre8個人の解釈、得た知識の整理であり、これを根拠に運用したことに問題があった場合の責任を何ら負うものではないことを一応記しておきます。あくまで難しいライセンスと言うものの理解の一助として利用してくださいね。

また、ざっくりした説明である為語弊がある可能性も否定しません。明らかに間違ってるとかそういうところがあったらご指摘歓迎です。結果的に完成度の高い文書になってより皆さんの役に立つのが理想ですね!

あとリンクはほとんどがwikipediaです。ライセンスごとの公式サイトは前回紹介しきったので。そちらを参考にしてくださいね。

制作者側の意識別!オススメライセンス

「難しいことはめんどくさい!誰でも何にでも使っていいよ!」
― 著作権フリー

  • パブリックドメイン
  • WTFPL

何を考えるのもめんどくさい場合は著作権を放棄します。パブリックドメインですね。これでその後、誰にあなたが作った素材を使われようと文句は言えなくなります

制作者と同等の権利を誰もが持てるパブリックドメイン

制作者と同等の権利を誰もが持てるパブリックドメイン

皆が使ってくれればそれでいいという考えも間違いでないとは思いますが、あなたが作ったものなのに、二次利用者がそれを用いた制作物に強い制限をかけてしまうこともある(本来制作したあなたより強い権利を主張してくるかも知れない)ということは一応覚えておいてください。商用に使われるのはおろか、更に購入された場合にも著作権の縛りを設けていたり。二次創作でも新しく作られたものは別の権利を持ってしまいます。その辺りを考慮して使いましょう。

おまけですが、WTFPLというのは著作権を自身で放棄することができないヨーロッパ諸国の人たちが著作物の権利を放棄同然にするために作られたものらしいですw日本の私達が使うことはなさそうなライセンスですw

パブリックドメイン – Wikipedia

WTFPL – Wikipedia – http://ja.wikipedia.org/wiki/WTFPL

「アダルトとか人を騙す商売に使われたりだけはイヤかな…」
― 著作者人格権等の明文化

日本の法律では著作者人格権は放棄できないので、著作権フリーと言っても依然として「意図しない種類の使われ方」をした場合の利用を制限する権利はあなたに残るようです。もちろん何も書いてなければ利用者はどういう使われ方をするとあなたが困るのかわからないので、嫌な事ははっきり書いておきましょう

例えば著作権フリーと謳う素材サイトで販売や配布されている素材は、利用規約で制作者の意図しない様な使い方を制限したりしていますよね。素材サイトでなく自身のサイトで公開する場合もしっかり利用規約ページか注釈文をつけるようにしましょう。

素材を自分で公開する場合と違い、人の手を介して公開する場合は著作者と著作物とその媒体とがどういう関係になるのかも大事ですね。素材サイトで販売、とかの話もしてると長くなりすぎるので今回は割愛します。そういう事がしたい場合は各サイトをチェックしてみてくださいね。

著作者人格権 – Wikipedia

モデルリリースについての事例

サイトについて-無料写真素材サイトPAKUTASO

「勝手に使っても構わないけど、二次利用者も同じ条件で使ってね」
― コピーレフト

  • GNU-GPL
  • GNU-LGPL
  • クリエイティブ・コモンズ 継承(CC BY-SA or CC BY-NC-SA)

あなたがもし、必死で作って提供したプログラムを使って更に誰かが何かを作った時に「私が無償で提供したものなのだから、そちらも私に見せるべきだ。分かち合っていいものを作っていこうよ」と思うようならこのライセンスです。オープンソースの考え方ですね。CCの継承を含むモードも同じです。こちらは画像、音楽など、幅広いジャンルの制作物に使うためのものです。

最初の配布者の決めたものと同じ条件を課すGPL/CC継承

最初の配布者の決めたものと同じ条件を課すGPL/CC継承

単体では完結しない、サービスの機能の一部分のみを担うようなライブラリを配布する場合はLGPLを使うことをお勧めします。ライブラリを組み込んで使いたいだけなのにそれで全体がGPLになるのだとした場合、利用者は使いづらいので…。もちろんLGPLの場合でもライブラリの中身をいじるような使い方の場合はライセンスを残す、GPLになる事が義務付けられるので、ちょうどいい折衷案となっているかと思います。

LGPLはライブラリとして組み込むだけなら本体のライセンスは問わない

LGPLはライブラリとして組み込むだけなら本体のライセンスは問わない

余談

プログラムならわりとわかりやすいですが、画像や音楽の場合はどうなるんでしょうね。まだ継承を宣言している画像素材を使用した制作物を見たことないので実例などが挙げられませんが…。GPLまたはCC継承のものを利用した場合ライセンスを同じくGPL/CC継承にしなければいけないことを考えると、そういったライセンスの画像なんかを商用、しかもアートワークやUIに使うパターンは考えにくいですよね。

加工画像や二次創作画像をまた継承にして配布、と言う使い方なら元画像が継承でも使えそうです。

GNU General Public License – Wikipedia

GNU Lesser General Public License – Wikipedia

継承 (クリエイティブ・コモンズ) – Wikipedia

「皆にどんどん使ってもらって、私のプログラムを広めたい」
― BSDスタイル

  • BSD License
  • MIT License

一番使う側が使いやすく、頒布しやすいライセンスの種類ですね。オープンソース的な考え方ですが、その二次利用者の運用をほとんど制限しません。無保証であることも条件に含まれていますし、ライセンスと条文を残すだけなので使う側にも負担の小さいライセンスです。著作権表示は義務なので、ちゃんと後々自分が制作に関わっていることもアピールできますし、特にどうこうしたいことがないのであればこのライセンスを選ぶのがベターなように思います。webcre8の印象ではよく使われるプログラムはMITが多いような気がします。

ソースへの記述だけで済むので使いやすいBSDスタイル

ソースへの記述だけで済むので使いやすいBSDスタイル

BSD – Wikipedia

MIT License – Wikipedia

「私の作品を世に広く使って欲しい」
― クリエイティブ・コモンズ

画像、フォント、プログラム等にも使えるライセンスで、画像のアイコンでライセンスをアピールできますし、分かりやすさに措いて特に有用なのではないかなと思います。BSDなどと違い、CCの中で改変禁止や非商用のみ等のモードを付加できるのが特徴です。継承以外の4モードの使い分けを考えましょう。

以前はAll rights reservedが主流だった

以前はAll rights reservedが主流だった

著作権が私にあることさえ伝わればそれでいい
– CC3.0表示(CC BY)

CCの中では一番自由ですね。著作権表記さえ残せば何に使っても構いません。プログラムで言えばBSDなどとほぼ同等ですが、適用するものが画像や音楽、効果音となると少し事情が変わります。それを利用しているサイト自体に残したり、写真自体に著作権表示を残さないといけないのでクライアントワークに使うことが難しくなったりするかも知れません。クレジットが付けられるなら問題ないのですが。

想定使用例としては写真下に著作権表示を付けてブログのキャッチや挿絵に使われたり、サイトのパーツに使われてフッタなどで表示をするという形になりそうです。

そのままの形でできるだけ拡散したい
– CC3.0表示 改変禁止(CC BY-ND)

改変禁止というのはほぼ「写真や創作物を作った本人の意図通りに使って欲しい」という考え方だと言えると思います。

想定される使われ方としてはやはりブログやサイトの挿絵ですね。改変できないのでサイトのパーツやバナーの一部などには使えません。素材ではなく作品そのものとしての使用を求めるものです。

商売には使わないで欲しい
– CC3.0表示 非営利(CC BY-NC)

改変や継承には拘らないが、とにかく商売には使われたくないというパターンです。使いたい場合は個人的に相談という形になるのでしょうか。非営利使用のみの配布はお試し的な素材やフォントに使われている印象ですので、どうしても商用に使いたい場合は商用に使える有料版を使う、と言った形になったりするんだと思います。

とにかく色んな人に使って欲しいのか、それ自体を収益などのとっかかりとして利用するか…運用の目的で判断すればいいと思います。

そのまま使うことのみ非営利でなら許可したい
– CC3.0表示 改変禁止 非営利(CC BY-NC-ND)

ほぼ掲載のみが許されている状態ですね。

だいたいここまで制限を設けているのはアート作品を他のメディアで紹介する場合の資料としての使われ方や、人物のプロフィール写真とかだと思います。どちらもそれにより収入を得ていたり、意図通りの使われ方をされると困るパターンですね。

クリエイティブ・コモンズ – Wikipedia

利用者としての希望的なもの

これはコンテンツを使わせてもらう視点に立った少し贅沢な願いですが、素材配布時はコンテンツを提供する条件を特にわかりやすく書くといいのではないかと少し思っています。海外のサイトだと特に、いい素材を見つけて、確認しに行くとどこにも「License」「term of use」の文字が見当たらずそっとタブを閉じる…事が少なくないのです。フリーで公開している以上はダウンロード数等のデータをその後の自身の実績などに繋げたい場合もあるでしょうし、「わからないから使わない」というのはお互いに悲しい事でもあると思うのです。…もちろんこうしないとダメだ、なんて言うことは全くありません。重要な部分を太字で書くとかもいいと思います。

ライセンスが不明にならないようにどこかに登録する

これは個人の素材提供者に多いように見受けられますが、サイトを閉鎖してしまい、素材だけが存在し、ライセンスがわからずコンタクトもとれないと言う場合が多々あります。まあサイト閉鎖しちゃったりしたらその後のことなんて僕の知ったこっちゃないと思う可能性もありますが…w 登録しているサイトに「for commercial use」や「CC BY」とでもあれば非常に助かるなーと感じています。特にフォントサイトは「Free」とだけ書いてありどういう意味でのフリーかわからない、というパターンも多かったです。まあ他のフォントの同じ項目を見ると「personal use」とあったりするので、その軸の場合の「フリー」は著作権フリーという解釈でよさそうですが。

最後に

「自分で作って何かを配布してみるということ」は、「配布側が人に何をされると嫌なのかがわかる」という点ですごく重要だと思っています。まあ「別に僕は自分の作ったもので何されても構わないけど…皆も気にし過ぎじゃない?」と思うかも知れません。もちろんそれがただ共有したいだけならいいですが…仕事にしたり、制作をしっかりやればやるほど、それじゃ済まなくなってくるはずです。

皆さんも是非何か作って配布してみてください☆クローズにやっているのとはまた違った楽しみがあると思いますよ。