クリエイティブ・コモンズの写真を使う人のFlickr以外の選択肢(またはフォト蔵について)
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フォト蔵と言うサービス
http://photozou.jp/
webcre8はこのご時世未だにガラケーユーザなんですが(周りのweb屋さんにも笑われます)、ガラケーの公式Twitterは写真のアップロードにデジタルガレージさんのフォト蔵というサービスを通すようになっています。ガラケーユーザが写真をTwitterにアップロードする時はほとんどの場合こちらを介する事になります。
ガラケーユーザ御用達のサービスと言う事もあってスマートフォン花盛りのITクリエイタ業界の人たちには歯牙にもかけられない(多分…もしかしたらディープに使う人もいるのかも知れないですけど残念ながら周りの人たちは何それって感じです)このサービスですが…。
フォト蔵はクリエイティブ・コモンズを大きく採用している
デジタルガレージはサイトにもクリエイティブ・コモンズを応援していると明記してあり、フォト蔵自体も単なる写真のアップロードサービスとしてだけではなく写真共有のSNSとして機能しているようです。むしろなぜここまでスルーしていたのか…w
普通にユーザはランキング等で会話を楽しんでおり、ガラケー関連と言う事もあってか見た感じあまりギークではない人たちのコミュニケーションが繰り広げられております。
素材写真サイトとしてのフォト蔵
それでは素材サイトとして利用する場合のフォト蔵の特徴を見て行きましょう。
クリエイティブ・コモンズで利用される前提のギャラリー
実際にサイトにアクセスしてクリエイティブ・コモンズというリンクを見てみたところ、しっかりと各ライセンスのモードごとに分けられたギャラリーを見ることが出来ます。あまりこうやって表示・非営利、というように分離して見せるサイトはないように記憶してます。
検索する場合も、各モードを選択した形で絞り込んで検索することができます。Flickrで言うなら検索窓の横の「Advanced Search」、フォト蔵には「詳細」と言うリンクがあり、ここで検索の詳しい条件を決めることが出来るわけですが、このときFlickrは権利に関して
- Only search within Creative Commons-licensed content
- Find content to use commercially
- Find content to modify, adapt, or build upon
と、つまり「クリエイティブ・コモンズ全部」、「商用可なもののみ」、「編集可能なもののみ」と三つのフィルタリングしかないのに対し、フォト蔵では
- クリエイティブ・コモンズ全て
- 表示
- 表示-継承
- 表示-改変禁止
- 表示-非営利
- 表示-非営利-継承
- 表示-非営利-改変禁止
のようにモードごとに選ぶことが出来ます。すごいでしょ!
…まあ、実際にクリエイティブ・コモンズの写真を使う場合って気にするのは「改変していいのか」「商用に使えるのか」の二点なので、Flickrの絞り込みで十分なのでは、と言う話もあります。しかもフォト蔵、各ライセンスを完全に分離しているので「表示と表示-継承」と言うような複合検索が出来ないんですよね…(Flickrは余裕で出来る)。これは正直痛い。せめてラジオボタンじゃなくてチェックボックスであってくれたら。
あとタグ付けとかそんなにしっかりユーザに運用されてるとも思えない感じもしますw
膨大な量
試しに一番制限の緩い「表示」モードを遡ってみたのですが、これだけでも2012年7月現在既に100000枚以上の写真が登録されています…。CCの写真を探すならFlickrと言うイメージでしたが、この量なら十分検討に値する量だと思うのです。
こうして二つのサービスを比べても件数はそう変わらないです。むしろフリー素材を使うとどうしても写真の豊富な国外サイトの写真ばかりになってしまう、「日本全開の話題のブログなのになんか外人が写ってたり明らかにニューヨーク」みたいな変なマッチ具合の写真を使わずに済みます。
クオリティも低くはない
いかんせん携帯Twitterと紐付いたサービスであるためかクオリティの低めな写真も目立ちますが、ここは基本的に写真アップロードコミュニティなので、しっかりしたカメラで写真を撮ってアップされている方も多いみたいです。
ランキング上位を見れば高性能なカメラで撮られたものが並ぶのは当たり前かもしれませんけどw
これらの高性能カメラで撮られた写真がちゃんとクリエイティブ・コモンズで公開されているかは分かりませんが、携帯でこちらに登録するパターンの人はやはりTwitterに流すのが目的なわけですし、ライセンスなんて選ばないでしょう。公開ライセンスも選んでアップできるということを考えると、わかって写真をアップしているカメラユーザもそんなに低い比率ではないだろうと思ってます。
懸念される点
こうして紹介しましたが、実際問題心配なところもあるにはあります。
ユーザはクリエイティブ・コモンズをわかっているのか
これが気になります。まあぶっちゃけFlickrの方だって大して変わらない状況ではあるとは思いますけど…。webcre8自身も登録の時どう設定したのかちょっと覚えてないんですが、いちいちアップするたびにライセンスのモードなんか選んでませんし(恐らく初期設定のまま公開されてる筈)、この辺を訳も分からず公開している人はいそう。
肖像権とか
まあクリエイティブ・コモンズで検索、なんてことをしている人が肖像権を知らないわけはないと思うんですが、問題はGoogle画像検索の検索オプションで「ライセンス」の「営利目的を含め自由に使用、共有、または変更できる」を選んで検索した場合。
このとき英語で検索した場合は当然パブリックドメインの画像に混じってFlickrの画像が出てくる程度なんですが、日本語で検索すると(恐らく日本語でタグ付けされる写真共有サービスが他にないため)殆どフォト蔵の写真が出てくるんですね(ぶっちゃけwebcre8も最近知りました)。
中には明らかにプライベートな画像も出てきます。これらの写真は当然ながら、肖像権や著作人格権を踏まえて運用されなければいけません。過去記事でも[ライセンス]結局何を使っていいの?利用者視点でのよくわかる著作権!とか[ライセンス]どれにする?制作者視点での目的別ライセンスの選び方でこの辺に触れてはいるんですけど…。
一旦まとめ
長くなってきたのでこの辺で一旦締めますw クリエイティブ・コモンズっていうものについてちょっと記事を分けて書きたいと思います。どちらかと言うとクリエイタ向けと言うより一般の人に読んで欲しい話しです。
この記事で言いたかったことは、まあ、フォト蔵凄いよって話ですw 日本のクリエイティブ・コモンズでの写真共有サイト…マジで他に競合ないのかな。Google画像検索での共有画像検索がフォト蔵の寡占状態だったことに驚いて記事を書いた、webcre8なのでした。
あと規約に書いてるんですが、このサービスはあくまで写真の共有、見せ合いっこがメインで、それにクリエイティブ・コモンズと言う許可の仕方が採用されているだけで、素材サイトではないと言う事を付け加えておきます。配布が目的で使うのは止めて欲しいみたいです。まあFlickrも別に素材サイトじゃないですしねw おんなじことです。
追記:写真キレイにしました
「写真サイトの紹介なのだから色数落とし過ぎない方がいいのでは」とのご指摘を頂きまして、写真をキレイにしました。確かにそうです…!というか圧縮も実際のところ改変にあたるでしょうからね…。他媒体、制作物のシェアは保存形式すら気をつけた方がいいと思います、自戒。