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スルーされないクリエイティブ ― 受け手にほんのちょっとだけ頭を使わせよう

この記事は約8分ぐらいで読めます

何かしらの問いかけを込めなければ白紙も同然
クリエイターやアーティスト、そうしたものづくりをする人の制作物について人が関心を持つ瞬間ってどんなときでしょうか。すごいだけじゃダメだと思うんです。

気付いてもらえない技術力の高さ

何かしらのものづくりに携わらずに生活を送っている人は、あまり人が作ったものを注意深く観察したりはしないでしょう。

もちろんこれは悪いわけではなく、実際気にする必要がないんですよね。そして仮に何かを作っていたとしても、他のジャンルのものの良し悪しなんてそうわからないことが多いですし、その中でも技術力高すぎるものの違いなんかはもう見分けがつかないわけです。

ある一定のレベルを超えるとすごいという以上のことは認識されにくい

ある一定のレベルを超えるとすごいという以上のことは認識されにくい

私はクオリティーは高いに越したことはないが、全てに勝る優先度を持つわけではないと考えています。

もちろん、目を見張るほどの美しいものに意味がないとは言いませんよ!むしろ、私は美しいものが大好きです。ものの美しさを理解せんが為にデザインに携わっているといっても過言ではありませんねー。スキルと審美眼の成長は同じスピードでないにしても、同じ方向に向かっているはずですからね、多分。

問いかけと答えを含める

さて、そうした超絶技巧や自然に生まれた美しさ等のすごみ以外のアプローチで、普通の人の意識にも訴えかけるようなものを作るにはどうしたらいいのでしょう。

私は、問いかけを含めることだと考えています。そしてこれには可能であれば、答えも用意します。

人は問いかけられると考えてしまう

何かしらの問いかけを込めなければ白紙も同然

何かしらの問いかけを込めなければ白紙も同然

よくwebで出回る「クリエイティブな広告○○」といったまとめを見ていると、単純にインパクト勝負のものもたくさんありますが、その中には「なぜこういう広告になったのか」と考えさせるような広告があります。そして、その疑問を解決するカギとして、その広告が売り込んでいるプロダクトが登場するのです。

Ads of the World™ | Creative Advertising Archive & Community

http://adsoftheworld.com/

こちらは世界の広告を集めたサイトです。評価が高いものを見るとやはり、ちょっとした仕組みのもとに作られているものが多いです。

こういった広告は、言葉ではなく視覚的な問いかけを使う事で受け手の思考の一部をプロダクトに関わらせることを試みているわけです。

一つ言えるのは、その答えに辿りつくのが困難であればあるほど間口は狭くなるが印象が強くなり、簡単であればあるほど誰しもに伝わるとともに、印象は浅いものになるだろうという事です。

問いかけは面倒くさい

そしてこの問いかけは、受け取る側が問いかけられていると感じれば感じるほど敬遠されます。上記の様な広告はそのビジュアルを見て受け手が自発的に問いに取り組むから良いのであって、例えば看板にテスト問題が書いてあっても取り組む人はわずかでしょう。…まあそれはそれで面白いですけどw

ものづくりは受け手との対話

ものづくりは、不特定多数との対話であると思います。そこには一対一の会話ほど濃密でないにしても、気持ちのやりとりがあるはずです。

途切れる会話を繋ぐための問いかけ

例えばあなたが意中の人に「今日仕事でこんなことがあった」とメールを送ったとします。このとき、内容が単なる報告であるならあまりリアクションの必要がありません。相手もこちらに興味がある、または気を使わなければいけないのでない限り、わざわざ考えて返事はしないでしょう。

しかしこのとき最後に「どう思う?」等の問いかけの文があった場合、その返事を返すかどうかは別として、相手は一旦それについてどう思ったかを言葉にして思い浮かべます

実際、ちょっと話しかけられても対応に頭を使うのを面倒に感じてしまう人も世の中にはたくさんいるので(単にその相手に本当に興味がないだけの場合もありますけどw)、コミュニケーションを取りたがっている側がこれを積極的に行う事で、結果双方にとって良い結果を生んだりもします。

口の上手い人、興味深いクリエイティブ

そして上手い広告やクリエイティブは、話しの上手い人と同じようにこれをさりげなくやってきます。ツッコミどころを用意し、多少オーバーにし、さも魅力的で反応せざるを得ない話題のように感じさせます。そして直接は言葉で問いかけることなくアクションを促すのです。

一対一の場合はこの加減を相手に合わせてするわけですがクリエイティブは不特定多数に向けるものなので、ターゲットに合わせて問いかけの難易度を調整します。これは自分で思うよりちょっと簡単な方がいいでしょう。

インターフェイスが解決する問題

この問いかけが簡単であるということは問いかけ自体だけではなく、そのリアクションの返しやすさにも言えます。例えばアンケート用紙を見るだけでうんざりする人もいます。

webでそれを一番上手く解決しているのはいいねボタンです。これはそのコンテンツに対していいねを押すか押さないかという紛れもない問いかけの要素を持っているのですが、人がそうだと認識する事はあまりありません。

WEBCRE8.jp | Facebook

https://www.facebook.com/WEBCRE8jp

あ、これはfacebookのスクショを貼りたかっただけですwたった一つボタンですが、「このサイトを良いと思いますか?」と問いかけているのがこのページであると言えるわけです。

これについては過去記事の「いいね」は現時点で一番心理障壁の低いアンケートであるで既に述べています。

無意識に行われる選択とソーシャル疲れ

話しは逸れますが、私はこの対話、つまり無意識に行われる多くの選択がソーシャル疲れと言われているものを引き起こす原因の一つになっていると考えています。友人の発言を一つ見るたびに脳の中では内容を理解し、コメントすべきかいいねすべきかを考え、コメントの内容を考えるという事を瞬時に行っているわけで、その小さな選択の積み重ねがストレスを作っているという事です。

つまり、結局負担は軽い方がいいという事です。ミステリー映画を「頭使うからヤダ。もっとアクション映画でスカッとしたい」と言う人がいるでしょう。アクション映画に問いかけは必要ありませんからね…!

答えに辿りつく快感を与える

アハ体験って言葉が昔流行りましたね。何かに気付き、答えに辿り着けたとき脳が活性化するというやつです。まあ、それを引き合いに出すまでもなく、人は何かがわかった時少なからず嬉しい気持ちになります。その意味でも、問いかけには答えが用意されているべきでしょう。もちろん、なるべく簡単に。

それが不特定多数ではなくある程度向けている相手が定まっている場合は難しいこと自体が価値になるパターンもあるので、これは使い分けですね。または決まった答えをあえて用意しなかったり複数用意するアート的な表現もあったりしますね。色んな解釈が出来る面白味もあったり。

診断系コンテンツはすごい

webコンテンツで言うなら診断系コンテンツはすごく相性がいいです。人の回答や診断結果を見ることから、自分がやったらどうなるのかという問いかけを内包していること、クリックで答えに辿り着けること、そしてソーシャルで流しやすいこと、というふうに見事に条件を満たしていますね。面白いかどうかは作った人によりますが、これは仕組みの時点でかなり優れていると言えそうです。

まとめ

  • クオリティーの高さは(それが唯一の価値でない限りは)最優先にはしなくてもいい
  • 難しすぎない問いかけを含み、一度考えさせる
  • 問いかけていることを意識させない
  • 可能であれば答えを用意し、答えてもらう
  • 答えやすいインターフェースを用意する

といったような感じになるかと思います。どうしたら面白い、たくさんの人に興味を持ってもらえるかについての考察記事は他にもいくつか書いているので、良ければ読んでみてみてください。

[クリエイティブ]私が意識している、無難かつ人の興味を惹き効果を最大化するコンテンツ制作のヒント – WEBCRE8.jp

[クリエイティブ]「良いコンテンツ」と言われるものが持っているモノ – WEBCRE8.jp